会長あいさつ

佐野 可寸志
長岡技術科学大学大学院
環境社会基盤工学専攻 教授
交通工学研究会は、道路交通の安全と円滑化を通じて社会の健全な発展に貢献するとともに、交通工学に携わる技術者の育成を目的として、1966年に設立されましたが、来年には創立60周年という大きな節目を迎えることとなります。この60年の間に、自動車技術や情報通信技術は飛躍的な進化を遂げ、私たちの社会や交通を取り巻く環境も大きく変化してまいりました。道路交通技術も、これらの変化に柔軟に対応してきた一方で、今後はより一層、将来を見据えた先進的な研究と技術開発、そしてその社会実装が強く求められています。
交通渋滞の緩和、交通事故の削減、自動運転・運転支援システムの社会実装、自然災害に強い交通システムの構築、人口減少・超高齢化社会やSDGsへの対応など、交通工学分野に求められる課題は山積しています。一方で、ビッグデータやAIを活用した新たな技術開発や理論展開なども進みつつあります。このような中で、本研究会の活動を持続的かつ精力的に進めていくためには、挑戦を厭わず、柔軟に変革を遂げていくこととともに、交通工学分野以外の分野との連携も今後より一層必要になってくると思われます。
首都圏を中心とした大都市部だけでなく、全国各地におけるローカルな道路交通課題に対してもきめ細かく対応し、本研究会の裾野を拡げることに取り組んで参りましたが、今後より一層進めていきたいと考えています。JSTEシンポジウムなどの場を設けることにより、研究成果や研究会活動に関する先端情報の積極的発信と地方組織との連携強化を進め、全国展開を図っているところです。また、本研究会の体力強化と会員サービスの向上が見える形として実現できるよう、事務局業務の効率化やDXも、さらに取り組みを進めていきます。
本研究会の最大の特徴は、研究者と道路・交通行政や民間の実務に携わる方々が互いに連携し、共通の目標であるより良い道路交通システムの実現に向けて、さまざまな活動に協働で取り組んでいるところにあります。このような趣旨に鑑み、本研究会の各種活動に鋭意ご参画いただくとともに、様々な場面で本研究会を活用していただければ幸いです。最後に、これまでの本研究会活動を支えていただいた関係各位に謹んで御礼申し上げるとともに、今後の活動に対して引き続きのご支援を心よりお願い申し上げます。
2025年6月19日
佐 野 可 寸 志