●クリアリングハウスってどういう意味?

 クリアリングハウスとは,直訳すると「手形交換所」という意味ですが,最近ではインターネットを活用した情報交換の場として,様々な場面で利用されています.

●交通シミュレーションクリアリングハウスの目標

 交通シミュレーションは,これまでいろいろな大学や民間企業で活発に研究開発が進められてきましたが,実用の段になると,それらがいったいどのような目的で開発され,どのような場面に適用されているのかなど,利用者や業務の発注者に情報が十分に広まっていませんでした.
 そこで,交通シミュレーション自主研究委員会では,様々なモデルに関する情報を集積し,利用者に向けて発信するとともに,利用者からの要望や疑問を開発者にフィードバックできる情報交換の場として,交通シミュレーションクリアリングハウスを運用しています.シミュレーションという技術が単なる研究の道具としてだけでなく,ロードプライシングや都市開発の交通アセスメントや交通管制方式の評価など,実務の中で利用されるように努めてしていくことを目指しています.

●モデル検証を通した交通シミュレーション標準化の推進

 交通シミュレーションに対する期待が大きい反面で,「中身がブラックボックスで,どんな計算をやっているのかよくわからない」,「モデルが違ったり,操作する人が違ったりすると,同じ問題設定でも出てくる答えがばらつく」といった批判があります.
 シミュレーション委員会では,こういった批判を真摯に受け止め,学術的な観点からシミュレーション技術の信頼性を高めるためには何をすべきかを議論しています.その一つの方向として国際的にも注目されているのが,「交通シミュレーションの標準化」の推進を目的とした次のような動きです.

・実用に供されている多数のシミュレーションモデルに,その挙動や性質を把握するための標準検証プロセスを適用すること.
・クリアリングハウス上で,検証結果を公開・比較することで,各モデルの適正な利用方法について,利用者や業務発注者の広い理解を得ること.
・データ獲得や分析結果の解釈など,実務を進める上で必要なシミュレーション適用の周辺技術について,研究事例や実例を収集し,ベストプラクティス・マニュアルとして体系的に整備することで,利用促進を図ること.

●開かれた情報交換の場として…

 交通シミュレーションクリアリングハウスでは,幅広い情報を集積するために,学会会員以外から寄せられた情報も掲載していきます.とりわけ,シミュレーションモデルの検証や適用事例については,積極的に情報収集を行っています.クリアリングハウス上でモデルが紹介されることが,ある意味でステータスとして認知されるよう,学会活動等を通した普及に努めます.

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