●ITSによる事故情報の収集と活用について
A:事故分析については,交通計画/道路設計などにほとんど事故分析が活かされて
いないのが現状である。
B:事故については,結果データしかなく,事故の要因/事故に至る過程が不明.
C:「事故特有の音を感知して,前後の時刻の映像を自動的に録画するシステム」は
ほぼ実用化している。これによると事故に至る決定的なシーンが撮れるので,事故の
結果でななく,事故のプロセスに関するデータが入手できる。
D:このシステムを有効に運用するためには,「事故多発地点」を知る必要がある。
E:多発地点として,現在全国約3000個所を抽出している。
A:車両同士の事故で双方死んだ場合は,事故調書が取れないのではないか。
B:今は,生き残ったほうだけの調書しかない。
C:死亡事故は横ばいであるが,事故の件数自体は増えている。運転中の携帯電話も
問題だ。
E:死亡事故のみを減らすことが目的ではない。負傷事故も減らして,総合的に安全
性を向上させる必要がある。
A:事故の発生過程から救急医療に至るまでまでのプロセスを整理して,各プロセス
毎に,どのような情報が必要か,現在足らないものは何か,という観点から整理して
みてはどうか。
B:自動録画装置が設置される可能性のある「事故多発地点」以外での「プロセス」
の記録はどうすべきか。
C:ドライビング・レコーダ(飛行機におけるブラックボックス)が役に立つのでは
ないか。
D:「多発地点」でのシステムと同じ機能を車両側に装備すれば良い。この場合は音
ではなくて,例えばエアバックのセンサの作動で記録するなどが考えられる。
E:Blackboxの情報と交通状況などとどうやってマッチングさせるか。
C:ビーコンやGPSとデータをやり取りしていれば,時刻情報は正確である。
F:事故が起こってから自動緊急発信システム(いわゆるメーデーシステム)がある
が,緊急出動する側の態勢の整備が重要である。
A:ドライバーがどこまで状況を認識して運転しているか。意識しているのだけれど
も間違っているという情報をどうやって取るか。
E:今は「認識誤り」として調書から取っているが,これをITSを使って周辺情報な
どから把握できるとインパクトは大きい。
B:安全装置(衝突防止,車線逸脱防止などのAHS技術)が,どれだけ事故防止に役
立つかを分析するような,事前評価手法が確立していない。
D:AHSで言う「Cruse-Assist」は,人間の制御(行動)特性を明確に把握していない
と,事故を回避するためのシステムはうまく機能しないはずである。
B:Cruse-Assistに求められるものは,
- 人間の行動(判断)と機械による制御の整合,滑らかな接続
- 高速道路の巡航:飛行機の自動モードに近い
- 一般街路:飛行機で言えば離着陸を繰り返しているようなもの
- 織込み区間のような複雑な区間
→現在と同じ容量を確保した上では,複雑すぎて機械では制御できない
(第8回了)