道路交通の安全と円滑のための既存道路ストックの交通運用改善の要求は増え続けており, さらに近年では,大規模集客施設の立地に関わる交通アセスメントなど, 実務における道路交通技術の適用範囲は急速に拡大しています. このような状況に応えるためには,とりわけ道路交通技術者の質的・量的拡充が重要です. 道路交通技術はさまざまな技術分野を総合した応用技術ですが, これまで我が国にはこの技術分野に関する技術者資格はありませんでした.
以上の状況を踏まえて, 道路交通技術に関連する業務にたずさわる技術者の能力向上をはかることによって, 業務が円滑かつ的確に遂行されるようにし, 併せてこれら技術者の地位を向上させることを目的として, このたび(社)交通工学研究会では道路交通技術資格認定制度を発足させました. この資格認定制度には,道路交通技術に関わる基礎的知識を有し, 道路交通運用に関わる専門業務に従事できるものを認定する 「交通工学研究会認定TOP」(トラフィック オペレーションズ プラクティショナ: Traffic Operations Practitioner)と, その上位資格として「交通工学研究会認定TOE」 (トラフィック オペレーションズ エンジニア: Traffic Operations Engineer) とがあります. このうち,第1回TOP資格試験を昨年12月に東京で実施しました. なお,TOE資格試験は平成18年度に開始予定です.
TOP資格試験は,交通調査,交通流現象,道路の設計と管理, 交通安全,交通の管理と運用,交通計画, 法制度と環境影響評価制度の7分野から五肢択一式で70問が出題され, 3時間で解答するものです. 第1回TOP試験の結果は,合格ラインは正答率65.7%(46点)で, 実受験者数509名のうち353名(69.4%)が合格しました. 合格してTOP資格登録をすると有効期限は最長で4年間ですが, 必要な継続研鑽を積むことで登録資格を更新できます. また試験範囲を網羅するテキストとして「道路交通技術必携」 ((社)交通工学研究会編,(財)建設物価調査会発行)が昨年発刊されました. 昨年12月には,本テキストの講習会が(財)建設物価調査会主催, (社)交通工学研究会後援のもとで開催され,好評を博しました.
平成17年度は,第2回TOP試験を12月初旬,講習会を10月中旬に, 東京と大阪の2箇所で昨年より規模を拡大して開催する予定です. 募集は7月下旬からの予定ですが, 詳細は(社)交通工学研究会ホームページ(http://www.jste.or.jp)をご覧下さい. また制度全般の詳細についてもこちらをご参照下さい.
TOP資格試験には受験資格はありません. 学生も含めどなたでも受験できます. 多くの方にこの資格認定制度の意義をご理解いただき, 資格登録者を拡充していきたいと考えています. 多くの資格登録者がさまざまな実務の現場でご活躍いただけるよう, (社)交通工学研究会は, この資格制度の活用を関係機関に働きかけていきたいと考えておりますので, この資格認定制度が広く各界で認知され, 資格登録者の方の活躍の場が広がることを期待しております.
[(社)交通工学研究会 資格委員会]