ITSのある生活(No.13)
「歩行者ITS / 経路情報 / 航空会社のHPから広がるマーケティング」


○森川
でも、ホームページを見たら、結構交通系って、特に電車、バス系でもマニアが物すごい情報を提供していますよね。ああいうものをもうちょっと集めてあげて、これはだれだれさん提供の公共交通を使った最短ルートとか、ちょっと工夫してポータルサイト的なものを作って利用しやすくしてやれば、利用者にもマニアにもメリットがあるようなものができないですかね。

○吉開
根っこはあるから、それを組織化する努力が足りないんですかね。

○岡本
歩行者ITSは芽があると思います。私のところもちょっと研究を始めたんです。ある地区でハンディキャップをもつ人を含めた歩行者のためのナビゲーションシステムをくろうと思ったんですけれども、ナビゲーションに関して、少なくともポジショニングはまだ今の技術ではちょっと難しいと感じています。
例えば、経路上にたくさんのトーキングサインみたいなものに埋め込んでやるといった方式もあるようですが、視覚障害者がそこを通って自分がどこにいるかわかるかというと、1つの装置が20mぐらいの半径のところに同じような電波を出すそうなので、歩行者向けとしてかなり精度が粗い。視覚障害者ですと、数mの誤差で車道に突っ込んだり、交差点を曲がれずに通りすぎてしまうという問題がある。
だから、ポジショニングはあきらめて、私のところで考えているのは、ある種のルート検索みたいなものが簡易にできるようにしたいということです。ルート検索自体は単純なシステムですからいいんだけれども、問題は、ルートそれぞれに一体ハンディキャップの人たちにとってどういう障害があるのか、あるいは歩くアメニティーがあるのかということを見つける作業が実は非常に大変です。
いわゆるコンテンツですよね。どういうことがあれば障害になるか、あるいは逆に良い道として認定されるかということは、技術の問題ではなくて、自分たちで調べて考えていかなければいけない。
例えばもし商店街みたいなところで、そういう歩行者ナビをつくり上げなければならないとき、単にソフトを持ってきただけじゃだめなわけですね。商店街の人たちが自分たちで、この道路というのはどういう道路なんだということを見ていかなくてはならない。そこで自分たちの町のことに対して、いろいろ違った目で、視覚障害者の立場で見たり、車いすの人、あるいは外国人の立場で見ることになる。そういうところで、実は中心市街地活性化みたいなものにつながってくるかもしれない。だから、歩行者ITSは結構芽があると思っているんですよね。

○赤羽委員長
それを使うと経路情報だけではなく、どこに何があるという情報も集められるのでしょうか。

○岡本
最初に言ったことと重なるんですが、基本的に戦後の交通政策というのは、道路というものをルートというか線として見てきたと思います。物を通すためのルートです。
ところが、歩行者にとって道路は面なわけなんですよ。特に視覚障害者の人と話したらわかるんですけれども、道路のどっち側を歩くかというのは彼らにとってものすごく重要なんですね。視覚障害者の認知地図は晴眼者とは全く違います。ユークリッド的に言えば、道路を面として見ているわけです。そして面の中にいろんな要素が含まれている。それを調べることによって空間を考えていくことが非常に重要じゃないか。歩行者ITSというのもそういうのに役に立つんだと思います。

○長谷川
ちょっとさっきの話に戻りますけどね。赤羽先生がさっきおっしゃった、1つの経路情報として、同じ人でも車に乗ろうかバスで行こうかということを考えることはよくある。電車の経路をどこからどこまでというソフトはもう大分できているんだけれども、高速を使ったり、それから電車を使ったり、公共交通機関を使ったり、すべての中から選ぶとしたらこういうやつがありますよというのが出てきてもおかしくないですよね。それが私、インターネットを使うとかなりできるような気がするんですよね。
これはAI系の論文でちょっと出ていて、私、赤羽先生には申し上げたことがあるかもしれないけれども、電力会社が自分のかなり広域なところの温度特性を逐一知ることは――火力発電とかはすぐに切りかえられないから――あらかじめかなり電力制御のために事前にやっておかなきゃならないということなんですね。
これをやるときの新たな方法としては、ウェブ上でいろんな温度情報を発表しているやりかたがある。これをバッと集めてきて、ウェブの上でかなり広域な部分の温度分布地図をリアルタイムにつくってしまう。
もちろん一個一個は誤っている可能性もあるけれども、自前でこうやってつくらなくても、圧倒的少ない費用で、それこそソフトウェアをちょこちょことつくるだけで、そういう面の温度分布というのができてしまうという、そんな論文が出ていたのを前に読んだことがあるんですけどね。
今みたいなこういう話も、ウェブのところでそれぞれが出している情報を持ってくれば、そんなに……。もちろん限界はあるんだけれども、ある程度のことを示すようなものはつくっていけるような感じがしますよね。

○赤羽委員長
そうですね。物理的に1箇所に集めようと思うとなかなか難しいですね。それは技術的な話だけではなく、うちの持っている情報をあっちにオープンにするのは嫌だとか、そういう抵抗があるのでしょうね。
「国内線いっぱつ空席照会」(http://www.ops.dti.ne.jp/~sin/airline/)というウェブページがありまして、発空港と着空港と日時を指定すると、国内航空3社のウェブページを同じ設定で立ち上げることができます。非常に便利です。その後の2000年11月に「国内線.com」(https://www.kokunaisen.com/counter/reservation/index.jsp)の提供会社が設立されているようです。「国内線いっぱつ照会」ページは、国内線の情報同士をリンクしただけなのだそうです。前者のサイトの説明によると、メタサーチという技術を使って、同じような情報をうまくリンクさせるという試みだそうです。
そういう方式で鉄道の情報とバスの情報と、それから道路上の車の動きとをリンクさせるような試みが行われたら、ソース情報を全部保有していなくても、1箇所に集めなくても、それを接続することによって、インターモーダルな情報システムができますね。

○森川
マーケティングの話なのでちょっと三浦さんにお伺いしたいんですが、そういう「国内線いっぱつ照会」だとか、もっと細かい日々の動きで、例えば東京のどこかへ行くのに、地下鉄をどうやって乗り継いでいったらいいかよくわからないことがあるんで、それをパッと出してくれるんだったら、私でも30円や40円ぐらい支払う意思はあるんですよ。
あとは最近ホテルの予約は無料になっていますし、だから特に利用するんですが、かつてはそういうことを旅行代理店にやってもらっていた。ホテルでも直接電話して予約するよりも代理店を通した方が安くとれた。ところが、当然代理店はそれで食べているわけなんだから、利用者に見えないところで料金を取る仕組みができていた。
そういう仕組みを使いながら、全部旅行代理店が一手にやるんじゃなくて、先ほどの交通システムのコンサルテーションを行う総合交通情報システムみたいなのでやれば、1回 100円程度の料金でできるというような市場というのはあり得ないのかな。

○三浦
ニーズはあるけど市場か成り立つかどうかですね。

○赤羽委員長
交通情報単体ではなかなか値段もつけてもらえないというのが、今までの交通情報プロバイダの経営が華々しくない理由のひとつでしょうね。

○森川
でも旅行代理店はそれで食べていたんですね。そこでうまいこと価格をどこかに潜ませて。

BBS投稿コーナー



Copywrited by Japan Society of Traffic Engineers E-mail : its@jste.or.jp